研究室紹介
海洋生物資源部門・資源生態グループでは、海洋生物の自然変動のしくみと生存戦略を明らかにすることを目指しています。具体的な研究内容としては、魚類・貝類・頭足類など漁獲対象として重要な資源生物の産卵生態や繁殖戦略、初期生態や加入量変動のしくみ、およびそれらの種間や海域間での相違とそのしくみなどです。また、それらを解明するためには、研究対象とする資源生物と密接な関係を持つ多くの生物の生態についても知る必要があります。漁獲対象として重要ではなくても、資源生物と密接な関係を持つ、あるいは生態系の中で重要な役割を果たしている生物種や生物群についても生態学的な研究を展開しています。
貝類・甲殻類・棘皮動物などの底生生物の生態学的研究(担当:河村和彦)
藻場、干潟の生物群集構造や食物網構造を理解し、生態系の変動機構を解明するための前提として、貝類、甲殻類、棘皮動物などの沿岸生態系の主要構成者である底生生物の生態研究を進めています。
藻場や干潟の生物群集・食物網構造(担当:河村和彦)
地震や津波が沿岸生態系に与えた影響、撹乱後の二次遷移過程とその機構を明らかにするために、藻場や干潟の生物群集構造、食物網構造、構成生物の種間関係の研究を行っています。東北マリン拠点形成事業のテーマでもあります。
頭足類における性選択と種内コミュニケーション(担当:岩田容子)
頭足類は無脊椎動物の中でもずば抜けて発達した脳を持ち、複雑で巧妙な行動を見せます。なかでも、瞬間的・部分的な体色変化を用いた求愛など、繁殖時の種内コミュニケーションは目を見張るものがあります。また、頭足類の交接後の貯精-受精プロセスでは、特徴的な精子間の競争や、雌雄の対立が生じます。このような雌雄の恋の駆け引きを、飼育行動観察などにより、調べています。
イカ類の種内変異維持機構(担当:岩田容子)
同じ種であるにも関わらず、集団の中には行動・形態・生理・生活史が大きく異なる個体が共存しています。このような種内変異はどうして進化してきたのでしょうか。沿岸性イカ類にみられる代替繁殖戦術をモデルに、多様性の維持機構を探っています。
個体群特性への海洋環境の影響(担当:岩田容子)
水温や餌条件などの環境条件によって、成熟サイズや産卵数などの海洋生物の生活史特性は大きく変化します。そのような生物の反応は、個体群の変動のしやすさにも影響するでしょう。季節や海域の異なる個体群を比較することで、海洋環境変動が個体群にどのように影響を及ぼすのかを調べています。
喰える雑魚の研究(担当:猿渡敏郎)
地球上には約33,700種の魚類が生息しています。百“魚”繚乱。魚類は、実にさまざまな色、形、生態を有する分類群です。この多様な魚類の中で、シラウオ、シシャモ、アオメエソ(メヒカリ)といった食用となる種類の生活史の研究を行っています。